ヒダリマキガイ(2009年)
瑞浪市化石博物館友の会の機関誌に投稿したもので、金沢犀川の大桑(おんま)層で採集したヒダリマキガイについて書いた物です。この貝は文字どおり左に巻いた貝で非常に珍しいものです。

 珍しい化石として、左巻貝があります。写真1はヒダリマキイグチガイで石川県金沢市の犀川の大桑(オンマ)層で採集したものです。写真2はネプチュニア・コントラリアというイギリスの左巻貝の化石であり、 どちらもほぼ同時期の更新世のものです。写真3は瑞浪市産のビカリア(月のおさがり)で、右に巻いており、ほとんどの巻貝の化石はこのような右巻です。現世ではサカマキガイ(逆巻貝)という名前が示すような  左巻きの淡水の巻貝が生存しているが、右巻貝が大勢を占めています。

なぜ左巻きが少ないか不思議に思いますが、右巻きが左巻きより遺伝的に優勢で、突然変異で左巻きになっても次第に淘汰され消滅していくという研究結果が出されています。その貴重なヒダリマキイグチガイの 化石が採集できる犀川の大桑層は80〜120万年前に海底であった地層が傾いて堆積しており、写真4のような犀川の激流で露出した多種の化石を産出します。写真5は犀川で採集した絶滅種であるサイシュウ キリカエダマシで右巻きです。

   友の会の夏の野外巡検地として今年も犀川の大桑層を予定しており、多数の参加を希望しています。

参考文献
新谷寿一(2007), 大桑層との出会い, Vicarya vol.178(瑞浪市化石博物館友の会機関誌)
 
 

<写真1>金沢市犀川で採取のヒダリマキイグチガイ

<写真2>イギリスの左巻貝

<写真3>ビカリア(右巻き)

<写真4>多種の化石が算出する犀川の大桑(おんま)層

<写真5>右巻きのサイシュウキリカエダマシ

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